春の酸性雨にご用心15.04.10春雨は静かに降る雨で、歳時記の春の季語としてよく詠まれる。三月半ばから四月にかけて、長く降り続く雨を春霖または菜種梅雨と呼んでいる。しとしとと降る暖かい雨は草木の芽を伸ばし、菜種など花の蕾を膨らませる恵みの雨。 春雨は農作物の成長を育む一方、万物の汚れを洗い流す効果がある。雨上がりの空気が清々しく感じるのは気の所為だけじゃない。 雨が大気のクリーニングをしてくれるからだ。 現代の大気中には、火力発電所などの煙突から吐き出された煤煙、車の排気ガス、植物の花粉、波しぶきがもたらす微細な塩類など種々な粒子が浮遊している。 硫化物を含む浮遊粒子は雨粒に付着し化学反応で硫酸となり、地上に降り注ぐ酸性雨の原因となっている。 化学では水素イオン濃度(PH)7以下が酸性であるが、酸性雨の基準はPHが5.6以下。天然の雨水は二酸化炭素が溶け込み、完全な中性ではなくPH5.6の弱い酸性を示している。 降り始めの雨には、特に大気中の浮遊粒子が多く含まれている。このため、白い洋服にしみが出来たり、頭髪の健康にもよくない。 朝顔、パンジー、サトイモなど酸性雨に弱い花や葉には白い斑点ができる。 新国劇の月形半平太の「春雨じゃぬれていこう」という有名な台詞(セリフ)があった。この演劇が流行った頃は、車の排ガスのない比較的きれいな雨が降っていたと思われる。 現在では春雨にぬれていくことはタブーである。 雨が予想される時には折りたたみ傘を携行し、雨粒がポツリと落ちてきたら、せっせと傘をさすことをお勧めする。 |